「不登校になって伸びた7つの能力」を読んで

私は今フリースクールの立ち上げ、運営に携わっています。

その関係で不登校の当事者が書かれた本をよく紹介されて読むようになりました。

この「不登校になって伸びた7つの能力」は母親である吉田晃子さんと娘である星山海琳さんが各自の視点で不登校を選択したからこそできたことを綴っています。

まだ世間では不登校というとともすればネガティブなイメージが先行します。そして学校に再度行くように試行錯誤してしまいます。

でもこの星山さんは学校のシステムに疑問を抱き、おもしろくないからと自分で学校へ行かない選択をしました。母親も不登校は怖いこと不安なことではないとわかっていたので受け止めていました。

親の不安や怖いと感じている思いがなかったからこそ、のびのびと学校に行かない選択ができたのだと思います。

ここからは私がすごくなるほどと思ったところをピックアップしてまとめていきたいと思います。

星山さんは「親の不安が子供の行動を狭める」「子どもは、親の感情を大事に扱いながら行動します。」(p95)と言っています。これはよくわかります。だめとかやめなさいとか言われないくても親の機嫌が悪いな、こういうことすると嫌がるなということは子どもは敏感に感じとります。

犬も猫も同じだと思います。無意識の「こうしてほしい、こうしてほしくない、ああなってほしい、これはやめてほしい」はちゃんと伝わり、子ども、犬、猫の行動を狭め、萎縮させてしまいます。なので親や大人の願望、希望が強いととても窮屈で追い立てられるように生活しなければいけません。表面では子ども、犬、猫の気持ちをよく汲んでいると思っていても気持ちが伴わなければ見抜かれてしますのです。

つぎに星山さんは「『何も強制、指示されない子どもはダメに育つ』は間違い」「自分の望まないことは続けずに、つらくて苦しいことはやめてしまう。それでいいと思っています。わがまま、すてきな言葉です。」(p116)

強制や指示をされないと自分で考えるようになり、不都合や結果や失敗しても自分で受け止められます。これは犬のトレーニングにも通じることだなと思いました。

なぜこの動作が必要かもわからない、自分で自分の行動を決められないことはとても苦しいことです。もちろん失敗をしないほうがいいけれど、失敗も時間をおいてみたらいい経験になっていることがほとんどです。

犬に苦手がないように指示したり、強制して人間社会で困らないように先回りして人間がすることは逆に犬の選択肢や考える力を削ぎ、無気力になったり、ストレスいっぱいになったりします。

自分で考えたらいちいち親やおとなに指示されるのはとてもうっとおしいし、ぷつりと指示されないときがあったら「どうしたらいいんだろう」ととても不安になると思います。

星山さんは大学へ進学したいと自分で思い、高等学校卒業程度認定試験を受けて大学に行きました。短時間で効率よく学び大学へ進学して自分のやりたいことを深めていったそうです。

学校へいかないと大変だというのは違うなぁと思います。いろんな選択肢、いろんな生活の仕方があっていいなと思いました。

母親側吉田さんの視点からでは、私はとても衝撃を受けた内容がありました。

「親が待てないと、子どもの考えが育ちにくくなる」「『自由を抑圧すれば忍耐力が育つ』のであればどうして『待つ』ができない怒りんぼうの親がたくさんいるのでしょうか」(p177)

これにはハッとしました。犬たちとのお散歩、日々のコミュニケーションでは待つ(といってもそんな長い時間ではないのですが)ということがとても大切だと私は思っています。お散歩で草のにおいを嗅いでいたり、どっちに行こうかたくさん考えたり・・・。ちゃんと考えて決めるまで待つというのは心が豊かになります。

「早くしないさい」「こっちきなさい」「さっさとしなさい」よく聞こえてくる言葉です。この言葉は悲しいです。仕事や家事に追われ、待つことがなかなかできなくなっている、待とうと思っても怒涛のようにしなければいけないことが追ってきてせかしてしまうということがたくさん起こっていると思います。

余裕は大事です。余裕がないと思いやりや気づきなどがなかなか生まれません。みんな怒りんぼうにならないためにも少し適当に余裕を待つことを心掛けるのがいいなと思います。

つぎに吉田さんは「わたしはこどもたちから求められないかぎりは、教えない、奪わない、求めないに努めてきました。」「『干渉』は子どもを不自由にします。」(p216)とありました。

これも犬育てにすごく通じることだなぁと思いました。よかれと思って教える、先回りして失敗しないようにする。。。これはとてもいいことのように思えますが、実は干渉で学びや感覚、自己肯定感をつぶしているのだと思います。

「ねえ、ちょっと教えて」と言ってきたときにはすぐに手助けをするくらいがいいのかなと思います。そのためには私・他人・犬、猫などきちんと自分単体を意識しないといけません。親子、仲がいい友達、犬と同居人(飼い主)はともすればすぐに自分の延長上に考えてしまってほかの単体であることを忘れがちです。そうすると干渉が起こってきます。

子どもとのかかわり、親の在り方は犬育てに通じるなぁと思いました。

またいろんな選択肢があって何を選んでも自分が納得できるような人生をみんなが歩んでいけるようになればいいなと思いました。

それには自分の権利などを学ぶ必要があります。子どもの権利、女性の権利日本ではまだなじみがないので少しずつ紹介していきたいと思います。

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