「親子共依存」を読んで

共依存は私にとってはとても深いテーマです。
それぞれが個別のひとりであるという分離ができていなければ依存が起こり、ぞれぞれの関係が密なほど共依存になります。

私は愛犬のヴェントゥスとトレーニングにのめりこんだり、しつけ教室に通ったりしていたときは共依存関係にありました。
自分と愛犬のヴェントゥスが同じ思いや気持ちを共有していると思っていました。
またそれがいいことだと思っていました。

しかし、一人はいろんな考えや感じ方、受け取り方があり、どんなに仲が良くても、その人のためを思っていても(ほかの動物に対しても)同じ思いやきもちをきっちり共有することなんてない、そしてそれぞれの感じ方や考え方、受け取り方を尊重するのがいいのだということに気づきました。

それに気づいてから、それぞれ見えないしゃぼんだまの中にいて、吸収されることなく、くっきりと分かれ、だけど一緒に時を過ごすことがいいなと思っています。
認める、認めないではなく尊重することが大事だと思います。
認める、認めないとなるとジャッジすることになるのでどちらかに上下関係が生まれます。

テレビでよく見る尾木ママこと尾木直樹さんの著書を読むのは初めてでした。

この著書では反抗期がなくてらくちん、いつまでも親ラブ族が増えていることを危惧していました。
親がいつまでも世話をやくことで子どもが自立する芽を摘んでいるのでは?

私の親もすごく心配症で失敗しないように先に先に世話を焼いたり、場を整えてくれていました。
大学生になったころ、「あれ?私自分じゃなにもできないかも?」と思ったこともありました。
今は何もできないではなく、ちょっと頑張ればできる、できないのはしてないからという視点で好きなことを取り組んでいます。
できないならできないでOK.
好きなものは頑張れるので少しずつですが上手になったり、工夫できたりしています。
イヌ育てもそうですが、心配しすぎて世話を焼きすぎたり、全部に指示を出したりするとイヌは途方もないストレスを受けてパニックになります。
同じことだと感じます。

過干渉は不安から

「彼らにとっての成功体験が、そのまま子どもの成功、幸せにつながるという根拠のない思い込み。将来が見えない時代だからこそできる限り子どもの環境を整えなければ、というある種の期待と責任感、そして不安が、子どもへの過干渉につながっているのです。」(p84)

イヌのトレーニングも同じ考えでイヌが人間社会を生きていく上で困らないように、イヌを嫌いな人にも受け入れられるように環境を整え、トレーニングをします。
人間の子どももイヌもネコもひとつひとつの行動、考えを聞かれ見られるのは息苦しく、その上でこうやったらうまくいくはずだからこうしないさいと指示されます。そうは思わないと言って従わなかったときに失敗したらやっぱり失敗したでしょとなります。

でも自分で考えて行動して失敗するということは大変いいことだと思うのです。
それからまた考えてどうしたらうまくいくかを何回も試すと応用力や分析力、そして自信につながります。

失敗したらかわいそう、失敗したら大ごとだではなく、一緒に失敗したことを気にもとめず、大丈夫だよと気負わずにいられる関係だとほっとするし、いろいろ試してみようと思うのではなかと思います。

親子依存に関係するものとは

親子依存は

「家族意識の高まり、そして社会を覆う不況感や未来への展望の欠如、身辺化…」(P151)
「日本の教育システムの問題・・・すべての教育実践のアプローチをアメリカ流の競争原理一色に染め上げ、『心の発達』課題がすっぽり抜け落ちたこと」(p69)

日本の独特の問題も絡んできています。

共依存が目立つ社会というのは、自分を大事にしてなく、よく自分のことすらわかっていないことが多い人がたくさんいるということだと思います。
そうするとよく考えることができなくなったり、「自分」「他者」というものがあいまいになり、何か我慢しているけど何かわからないとか苦しい気持ちに潜ってしまうと思います。

まずは自分が親や子ども、そして一緒に暮らしているイヌやネコにも依存していないか考え、自分という感覚、考えを大事にできると相手のことも大事にできるのではないかなと思いました。

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